仮説の検証1

進め方

 仮説を立てた後は検証です。「仮説は実証されて初めて真実となる」どこかの誰かの言葉で表されているように仮説と検証はワンセットです。

仮説の検証にもいろいろな種類(方法)がありますが、研究開発では一般的に実験での検証です。

ここでは実験計画⇒実験の実行⇒得られた結果で仮説を進化させるというオーソドックスな流れに沿って検証の注意点を交えながら説明していきます。

実験の進め方を考える

 当たり前のことですが、いきなり検証の活動をはじめるのでなく、実験の進め方を考えます。「魚が釣れなければくたびれもうけ」よ~く考えましょう。ポイントは次の5つです。

  1. 最終的な結論や話の骨格に大きな影響力を持つ部分(前提・洞察)から手を付ける
  2. バリューが同じくらいであれば早く終わるものから手を付ける
  3. カギとなるサブイシューを検証する場合は、どちらに転ぼうと意味合いが明確になるタイプの検証を試みる
  4. 実験規模は、徐々に大きくしていくのがセオリー
  5. 仮説検証サイクルを回す

最終的な結論や話の骨格に大きな影響力を持つ部分(前提・洞察)から手を付ける

  重要な部分をはじめに検証しておかないと、描いていたストーリーが根底から崩れた時に手が付けられなくなります。まずは影響の大きな部分をおさえましょう。

 敵陣の本丸や大将を落としてしまえば、あとは残党狩りです。

バリューが同じくらいであれば早く終わるものから手を付ける

 上の影響の大きな部分の検証が済めば、あとはバリューが同じくらいであれば早く終わるものから手を付けていきましょう。

 残党狩りは、残党レベルが同じ程度であれば、さっさと片付くものからやっつけましょう。

カギとなるサブイシューを検証する場合は、どちらに転ぼうと意味合いが明確になるタイプの検証を試みる

 影響の大きな部分の検証が済んで、残党の中にまだ敵陣の副将となるような大物の残党がいる場合は、敵になるのか味方になるのか、どちらに転んでも意味合いがはっきりするようにやっつけましょう。どっちつかずはトラブルの元です。

実験規模は、徐々に大きくしていくのがセオリー

 実験の規模でいうとはじめは、ラボレベル⇒小型実験装置⇒中型実験装置⇒・・・のように徐々に大きくしていくのがセオリーです。規模を拡大というと寸法だけのようなイメージですが、温度域や速度域などがある場合でも、はじめは常温⇒中温⇒高温、速度の場合もはじめは低速⇒中速⇒高速のように徐々に拡大していくのがセオリーです。一般的に常温でできないものが高温でできるわけもなく、低速でできないのに高速でできるわけもありません。

 なお、実験規模を拡大していくときは相似則に気を付けて拡大していきましょう。相似則については別記事で簡単に紹介します。

 はやる気持ちはわかりますが、いきなり領土を広げようとすると思わぬ失敗があったり、それが何で失敗したのかわからなくなっていきます。。小さな領土も制覇できないのにいきなり広い領土は無理です。

仮説検証サイクルを回す

 仮説の検証は1回で終わることはなかなかないと思います。発明王のエジソンも、「私は失敗したことがない。 ただ、1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ」とも語っています。あきらめずに仮説を進化させながら何度も挑んでいきましょう。

こんな感じです。

初期仮説→ざっくり検証→より具体的な仮説→だいたいの検証→さらに具体的な検証→緻密な検証

注意点

 「立てた仮説が正しいと言うためには、何が言える必要があるのか」と考えて検証を進めていきますが、仮説を検証するといっても、決して答えありきではありません。フェアな姿勢で検証をする必要があります。確証バイアスに気を付け、木を見て森も見ましょう。

確証バイアス

 仮説にとって都合の良い事実ばかりを重視して、都合の悪い事実は実態以上に軽視してしまう心理的傾向が人間にはあります。フェアに行きましょう。

木を見て森も見る

 「木を見て森を見ず」細部に気をとられて、物事の全体を見ていないことのたとえです。検証のための実験に没頭するあまり研究開発の目的を見失い、実験という手段が目的となり、実験に溺れてしまうことがあります。木を見て森も見るようにしましょう。

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