イシューの見極め

進め方

イシュー特定のためのリサーチの後は、イシューを見極めます。よいイシューの3条件とイシュー見極めの5つのアプローチについて説明します。

よいイシューの3条件

よいイシューは検証されたときに受け手をうならせるもので、それに向けて自分やチームを奮い立たせるものです。研究開発や学術分野においては長年の願望などありますが、次の3条件に合うかどうかを確認するといいです。

  1. 本質的な選択肢である
  2. 深い仮説がある
  3. 答えを出せる

本質的な選択肢である

 右なのか左なのか?その結論によって大きく意味合いが変わる”本質的な選択肢(カギとなる質問)”でそこから先の研究に大きな影響が出るものがよいイシューです。

 一見もっともらしいイシューに見えてもその局面で答えを出す必要のないもの、答えを出すべきでないものが多いので、True?(ほんとにそうか?)Now?(今か?)と再度考えてみるのがコツです。

 また、研究開発の場合は「前提となる事実に見直しを迫る発見があった場合」イシューが変わり、見直しが必要になります。

深い仮説がある

 よいイシューには深い仮説があります。深い仮説とするのに”常識を否定する”と”新しい構造で説明する”があります。

常識を否定する

 一般的に信じられていることを並べて、その中で否定できる、あるいは異なる視点で説明できるものがないかを考える。エキスパートや現場の人に話を聴くと「常識」がわかります。その肌感覚の常識が反証されるとインパクトは絶大です。

新しい構造で説明する

 いきなり常識を否定する強力なイシューが発見できなくても新しい構造で現象を説明できないか考えるのがよいです。新しい構造には4つのパターン「共通性」「関係性」「グルーピング」「ルール(法則)」があります。

答えを出せる

 本質的な選択肢であり、深い仮説があっても、明確な答えが出せないのは良いイシューではありません。既存のやり方・技術では答えを出すことはほぼ不可能ということが多くあります。

 すなわち「本当に既存の手法、あるいは現在着手し得るアプローチで答えが出せるのがよいイシューです。

イシュー見極めの5つのアプローチ

通常のやり方でイシューが見つからない場合は、一度頭を休めて基本作業を繰り返すのがいいです。

どうしても知恵が出ないときは次の5つのアプローチを試してください。

  1. 変数を削る
  2. 視覚化する
  3. 最終形からたどる
  4. So Whyat?を繰り返す
  5. 極端な事例を考える

変数を削る

 関連する要素が多すぎて、結局のところ何が肝心の要素なのか、何が決め手なのか、そもそもそうしたものがあるのかすら見えないことがある。

 このような場合には、「変数を削ることができないか」を考える。変数を削る、もしくは固定する。

視覚化する

 カタチが見えると急速に何かがわかったと感じることが多い。設計関係だと図にしてみるのは必須と思う。

最終形からたどる

  見極めなければならないイシューを最終形から逆算的に考えるアプローチです。この方法によりイシューを構造化できます。設計関係の研究開発であれば、上の視覚化とあわせて図にしてみるとよいと思います。

So Whyat?を繰り返す

 当たり前のことしかイシュー候補としてあがらないときは、「SoWhyat?(だから何?)」という質問を繰り返すのが効果的です。ただこれはめっちゃくちゃ疲れます。

極端な事例を考える

 要素や変数が入り組んでいる場合には、いくつか重要な変数を極端な値に振ってみるとどの要素の動きがカギとなるのかが見えてくることも多いです。すでに数式モデルなどがある場合は、具体的な数値を代入すればよいでしょう。

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