仮説をたて、論理の枠組みを考え、ストーリーを構築する

進め方

 イシューを見極めた後は、「何に答えを出す必要があるのか」というイシュー起点で仮説ストーリーを組立てます。そのためには何を明らかにする必要があるのか」という流れで分析をします。

イシューと仮説の関係

 仮説とは「あるイシューに対する仮の答え」と定義されます。イシューと仮説は密接不可分(切っても切れない、切り離すことができないの意)です。ゆえにイシューと関係のないものは仮説に該当しません。なお、この時点では、まだ正解かどうかは問いません。

 また、「仮説と検証」はワンセットであり、検証が可能な言葉で表現される必要があります。

よい仮説の3要素

 よい仮説とは「イシューに対して意味のある仮説」で次の3つの要素があります。

  1. 新奇性・独自性があること
  2. イシューからの「ずれ」がないこと
  3. 具体的な行動・意思決定に役立つこと

新奇性・独自性があること

 当たり前であったり、使い古されたメッセージでは意味がありません。

 既存の常識や法則と比べて何かしら新たな視点や認識を提供するといった新奇性、限定された場面では、一般論は適用できず別の条件が加わることを発見したとか独自性のある仮説であること。

 とはいえ、かなり難易度は高いので「まったく別の視点評価軸を持ち出したり、従来の常識の否定、単純化に向かったりすること」も仮説として価値があります。例えば、「あくまでも現状で支配的となっている認識から異なっていればよい」と思います。要するに「全くの新説でなくてもよい」ということです。

イシューからの「ずれ」がないこと

 イシューからずれていると、そもそも別の話になっています。話題は重なることが多くてもいくつかの段階に分かれるうちにどの段階の話だとか、誰にとっての話とか部分的なずれがないのがよいです・

具体的な行動・意思決定に役立つこと

 学問的な仮説と違ってビジネスでは成果が求められます。

 ビジネスにおけるイシューは「それを考えることでどんな成果につながるのか」という問いに対して答えがあるものでなければいけません。

 大学での研究や基礎研究といわれる部類の研究開発では将来的にどんな成果につながりそうかということに答えを出せるものでなければ、ただの趣味といわれかねません。

よい仮説をつくるために重要な3つの要素

 よい仮説を作るために次の3つが重要になります。

  1. テーマに対する知識と推論力
  2. 特異点を探知するセンス
  3. 質の高い仮説を目指す志

テーマに対する知識と推論力

 イシュー特定のためのリサーチで得られた知識とそれらから仮説を導き出す推論力が必要になります。推論力については役に立つスキルとして別記事で詳しく説明します。

特異点を探知するセンス

 特異点とは、法則(ルールやパターン)とは異なる特徴を示す要素やケースのことです。

 既存の理論ではうまく説明できない事象をとらえて、別の”共通項”や”因果関係”によれば矛盾なく説明できると発見できたとき、価値ある仮説が生まれます。

 これははじめて研究開発に従事する人には少し難易度が高いですが、そういうセンスを磨くために次の項目を心がけるといいと思います。

  • 予期せぬ成功を認める勇気
  • 現実を直視する姿勢
  • 間違っていたと認める謙虚さ
  • バイアスを自覚してなるべく避ける
  • 特異点に対する好奇心をもつ

質の高い仮説を目指す志

 仮説の質とスピードはトレードオフだが安易に妥協せず、スピードと質の両方を追求する志がいります。志を持つにも何のために質の高い仮説を目指すのかというモチベーションが重要になります。

よい仮説を作る環境をいかに整えるか

 イノベーションを達成するのに「場」の構築が重要だといわれます。これに関しては初めての研究開発の中級編で取り上げたいと思います。

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